ギターワンポイント講座『ひなまつりの曲を弾いてみよう』~セーハ(バレー)が続く曲を楽に乗り切る~

今回は3月3日のひな祭りに合わせて河村光陽(1897-1946)作曲の「うれしいひなまつり」を講師がアレンジしたものを例に進めて参ります。

さて、先ずは楽譜をご覧頂きましょう。

講師のアレンジによる楽譜
(楽曲の著作権消滅は確認済)

このアレンジにチャレンジするのに適切な方は、禁じられた遊びやそれと同等レベルの楽曲を弾ける、5~12フレット付近まで使う楽曲を演奏した経験のある方、とさせていただきます。

初心者でもうまく練習すれば普通に弾けるかとは思いますが、技術が整わぬ内の体に無理がかかる(指がつりそうになる、手が痛くなる)練習は禁物です。

さて、通常この楽曲の調(Key)はハ短調(Cm)で演奏される事が一般的ですが、このアレンジはギターに合わせる方式をとりホ短調(Em)で作成しました。

イントロ部分はこの調の設定により大変容易に演奏できるでしょう。

3小節目のドシは下降スラー(プリングオフ)で演奏しましょう。

5小節目、6小節目ではどちらも④⑤弦の2フレットを押さえますが・・・5小節目は人差し指でまとめて押さえ(小さなセーハ)6小節めでは中・薬指で押さえ直して弾くとよいでしょう。

この5小節目でこの記事のタイトル以降初めて「セーハ」という言葉が出てきました。

セーハまたはバレーとは簡単に説明するとギターコードを押さえる際に左の人差し指が複数の弦をいっぺんに押さえる技術の事を指します。ギターを持った初心者の方がFのコードで挫折する時に「いっぺんに弦を押さえられない」技術としても有名です。

ここで身構えずに、上記の2本だけ押させる小さなセーハを極力力まずに第2フレットに人差し指の爪の辺りを寄せるような感じで押さえて演奏してみましょう。力んでいなければ5小節目のフレーズは余っている小指等で不通に演奏できるはずです。

ここは案外楽に演奏できるのではないでしょうか。

この小さなセーハをした際の「フレットに指を寄せる(右利きの場合右側の方の)」事と「力まずに可動性を保つ事」をこの楽曲の以降でセーハが出てくる場所でも気を付けて適用していきましょう。

9小節目から歌メロディが始まります。

禁じられた遊びを弾いた経験のある方なら、ここで似た形になっていると気づくかも知れませんが、そう感じる方は恐らくこのアレンジを楽に弾いていけるのではないでしょうか。

出だしのポイントについて、左手は1弦を触る指が弦を触る感覚を頼りに左右の移動を整頓する事、右手に関してはクラシックギターの指弾きを想定してアレンジしていますが、指で弾く場合それぞれ何弦をどの指が弾くのかを明確に、またメロディを弾く指を少し意識して音色の具合を確かめながら演奏しましょう。左右共にどう動くのかを明確にする(改めて確認したり、移動先を言葉に出して弾てみたりするのもよい)事がポイントです。

11小節、12小節とセーハが続きますが、11小節目のセーハは半セーハ(①~③弦だけをセーハ)12小節目は全ての弦をセーハの形で覆う全セーハで演奏しましょう。

どちらの場合でも人差し指のセーハのラインがフレットに対してあまりずれないように、極力平行に寄り添うように置くようにしましょう。

あえて「置く」と書いて居るのは「押さえる」と書くと力む恐れがあるかと思うからです。「置く」感じでうまく行かない場合「張り付ける」とでも言いましょうか。

その際に左の肘がどちら向きに動こうとしているか、その動きに結果セーハをする指にどのように力が作用するのか、その力の作用を有効的に活かすには人差し指はどういう形で何処にセーハのラインが出来ているのがよいのかを見つけましょう。

(ここで宣伝になりますが・・・ご自身で最適な形に辿りつけない場合は是非当教室のレッスンにお越し下さい!)

フレット付近に「置く」→「浮く(離す)」そして速やかに次の形へ、の組み合わせを力みなく自然に行えるようになってくればストレス無く弾ききれるはずです。

17小節以降には少し左手をワイドに使う部分があります。

17小節目の2拍目の部分は10フレットでセーハをするか指を1本ずつ置くか、楽に弾ける方を選択して指の使い方を整えて下さい。

21~22小節目は最後の7セーハと書いてある前までは音が縦に並ぶ部分もあえてセーハをせずに、上下2本の旋律が滑らかに同時進行するように左手の移動の仕方を工夫しながら弾いてください。

あとは23、24(繰り返し2回目の場合25)小節と弾いてから前半に戻ってFineで終了です。

23小節目の波線が引かれている和音はすこし崩し気味に「ジャララン」と弾きましょう。あまりやりすぎるとテンポから逸脱して不格好になるので、タイミングや弾く速度等どれくらいが適当か検証しながら仕上げて下さい。

・・・すこし駆け足の説明になってしまいましたが、楽しんで弾いて頂けると幸いです。

今回は初心者の方には少し難しいアレンジの紹介になってしまいましたが、これくらいのアレンジが気軽に弾けるかどうかを指標に、チャレンジしてみるのもよいかと思います。

セーハの練習をする際にはくれぐれも指、手の疲労や痛みにはご注意下さい。

腱鞘炎になってしまってはせっかくの楽しいギターが弾けなくなってしまいます。

セーハを上手に出来るようになりたい方、手に負担がかからない演奏を身に着けたい方は是非一度当教室の体験レッスンにお越し下さい。

ひなまつりに始まる3月、皆様が楽しい音楽生活を送られますよう願っております。