ワンポイント講座『フレットボードの座標感覚その1「ローポジションでの縦移動」』

ギターを始めたばかりの方、あるいは独学で弾いていていつまで経ってもコードチェンジが上達しなくて悩んでいる方等に多くみられる左手の技術で見落としがちな点に「左指の縦方向の動き」というものがあります。

例えば多くのギター初級者の方がチャレンジするであろうCメジャーのキーの楽曲の場合、単純なものでもCからG7やFとの行き来が必要になるケースが殆どです。

その際、ダイヤグラムやタブ譜等で「何フレットを押さえるか」「次は何フレットから何フレットか」と、横軸での変化には比較的注意が行くのですが「どの指を何弦から何弦に移動するのか」という事を意外と多くの方が見落としてしまっているのです。

そこで皆さん上記の見落としでコードチェンジが思うように出来ないと「…あれ?Cで始まる曲って簡単だと思っていたら、意外とうまくいかないぞ・・・?ギターってこんなに難しかったのか・・・。」と思ってしまうようなのですが・・・。

左手の構え方や爪の長さ等に問題が無く、それぞれのコード単体ではうまく音が出ているとして(初心者キラーであるFも出来たとして!)どうも指がバタバタして思うように動かなかったり、緊張してつりそうになったりする方は、一度リフレッシュして「何フレットを押さえるか」という事だけではなく、「何弦に指が向かうのか」という事も考えてみましょう。

例えばCメジャーの場合…
2弦1フレット【C音】を人差し指
4弦2フレット【E音】を中指
5弦3フレット【C音】を薬指
…という形で押さえているかと思います。

G7は
1弦1フレット【F音】を人差し指
5弦2フレット【B音】を中指
6弦3フレット【G音】を薬指
でOKですが…

比較的うまく行く可能性の高いC→G7は大変少ない動きでコードチェンジ出来る進行である事がわかりますが、少ないながらも人差し指が同じ1フレットの2弦→1弦、中指薬指は同じ2、3フレットの5弦6弦へと縦の動きが入ります。

これが1フレットセーハする6弦ルートのFの場合は…
1弦1フレット【F音】人差し指の根本側
2弦1フレット【C音】〃
3弦2フレット【A音】中指
4弦3フレット【F音】小指
5弦4フレット【C音】中指
6弦1フレット【F音】人差し指
となり、GやCに移るには少し移動が複雑になります。

一気にチェンジする感覚が自然と発見出来る方も居るでしょうが、どうもレッスンをしていると多くの方がここでこんがらがってつまづいてしまう事に気づかされます。

Fコードは押さえる場所も多く、ついついセーハで人差し指が力んでしまいがちなので、Fからの移動、Fへの移動共にC→G7よりは難しく感じてしまうのです。

力みをリセットしてシンプルに移動すれば難しい事はありません。

FからCは…
スッと脱力して指を解いたら
6弦1フレットの人差し指の先を2弦1フレットへ
5弦3フレットの【C音】は脱力して他の指が揃うまでそのままの場所で待機
3弦2フレットの中指を4弦2フレットへ
4弦3フレットの小指は上がったまま他の弦に触らないよう待機

人差し指から順番に、これでコードチェンジ完了です。

CからFの場合セーハが入るので少し気をつける点が増え、人差し指の動きとしては2弦1フレットから1フレット1-6弦セーハの形をとらなくてはいけませんが、動きの方向性としては人差し指の指先が2弦から6弦方向へ向かって伸びるという事になり、他の指の移動についても同じように行えるでしょう。(ただしセーハをすると手のひらの位置に変化もあり、バランスが変わるので指のレイアウトもそれに合わせて調整しましょう)

今回紹介したコード進行では横移動は入っていませんが、ローポジションのDやAが出てきても同じように考えると簡単に処理できる事があるはずです。

F♯が出て来たり、例えば7フレット~ローポジションを行ったり来たりするコード進行の場合手のひらごと移動が必要になり違う発想も必要になりますが、それはまた別の項目(ポジション移動、または離れたコードへの移動)で解説します。

今回の項目は慣れてきたら考えなくても感覚的に自然に行える必要がありますが、うまく繋がらない進行が出て来たら思いだして縦横座標を整理して指を運んでみましょう。