ギターワンポイント講座『ジュリアーニのエチュードによる譜面とリズムの練習』

本講座で時折「エチュードは役に立つ!」と書く事がありますが、今回はより具体的にエチュードを使った練習講座を進めて参りたいと思います。

「エチュード」と聞いて、ピアノのショパンのエチュードやギターのヴィラ=ロボスのエチュードを思い浮かべ、難しいイメージを抱く方もいらっしゃるかも知れませんが、ご安心下さい。
エチュードは技術レベルに関わらず「学ぶための楽曲」であり、技巧を要求されないものも数多く存在するのです。

今回ご紹介するジュリアーニのエチュードも音楽初級者の方にオススメの、難しくないエチュードです。

譜例:ジュリアーニのエチュードop30-3
ジュリアーニのエチュードop30-3

ジュリアーニ氏は1780年に今でいうイタリアに生まれ、ウィーン等で活躍したギタリスト、作曲家です。大序曲、ロッシニアーナ他、明るく華麗なギター楽曲が多くのギタリストに愛奏されています。

このエチュードは大変シンプルで短い練習ですが、その華麗な楽曲を演奏する基礎となる指の技術の立ち上げに役立つ重要な練習曲でもあります。

さて、今回は音符の読み方とリズムのとらえ方をポイントにした練習方法を説明して参ります。より聴き映えのする音楽として仕上げるには、他に気を付ける点が沢山ありますが、ポイントを絞って集中して練習する為、あまり多くの事を気にし過ぎないように進めて参りましょう。

この楽曲のリズムは4分の2。四分音符を基準として2カウントで1つの小節を通過するリズムで演奏しましょう。

カウントとしては「ワン、ツー|ワン、ツー|…」で進んでいく感覚です。

さて、最初に出だしの四分音符と2分音符で構成された基本のフレーズを確認しましょう。上記のカウントに乗せて、四分音符の音が進んで行きます。白抜きの2分音符ではしっかり2カウント分音を伸ばしましょう。

一つのカウントに一つ音が乗るのが、4分音符、二つのカウント分音が伸びるのが2分音符、と弾き分けましょう。

メトロノームを鳴らしつつ、4分音符を「タン、タン」と読み、2分音符は2カウント分「タアーン」と読むのも時間感覚をシンプルに理解するのによいかも知れません。

演奏してみると、童謡にもありそうなシンプルなメロディが流れてきたでしょうか。

次の展開では8分音符が登場します。

8分音符は1つのカウントで2つの音を鳴らす音符です。足か声でカウントしながら手拍子を2回ずつやってみるとわかり易いでしょうか?

先の部分と同様、カウントと音符の関係を意識して、リズムに乗って演奏しましょう。

上記のタンタン…と同様にリズム確認の際に言葉を当てるなら「タ、ティ、タ、ティ|タ、ティ、タ、ティ」等如何でしょう。「タタタタ…」でもよいでしょうが、微妙に音が違う方が強弱拍の感覚は掴みやすいのではないでしょうか。

さて、次に登場するのは3連符です。

8分音符の際の「1カウントに2回音を出す」と同様の説明をするなら、3連符は「1カウントに3回音を出す」音符です。

足か声のカウントで、今度は3回手拍子を打ってみましょう。

タ行の言葉当てはめでは・・・「タカタ、タカタ|タカタ、タカタ」や「ティヤタ、ティヤタ…」、あるいは「タタラ、タタラ」「トゥクティ、トゥクティ」人の名前かあるいは呪文かといった感じのものが多く出てきそうです。

徐々に慣れてきたでしょうか。

さて、いよいよ今回の項目で一番すばしっこく動きのある16分音符の登場です。

16分音符は「1つのカウントで4回」でやってみましょう。

手拍子を試してみると忙しく感じる事でしょう。もしマラカス等をお持ちでしたら(あるいはカラオケ等に行った際に!)カウントしながら振ってみるとリズムがとりやすいかも知れません。

また、言葉当てでは「ティキ ティキ ティキ ティキ…」等と言ってみるとリズムがとりやすいのではないでしょうか。

この練習曲では低音側と高音側でメロディーが同時進行して行きますが、この16分の部分ではそれぞれ「ティキティキティキティキ|タアーン」というリズムで、2分音符の「タアーン」が鳴って居る部分でもう一方のメロディが「ティキティキ…」と弾き始める構造になっています。

所で、先に登場している4分、8分、3連の部分も、音符の棒の向きに注目してみると上下2種類の音符がある事に気づくと思います。

これは、気分で分けて居るわけではなく、意味があります。

棒が上を向いて居る音符のグループと、下を向いて居るグルーブそれぞれ分けて弾いてみると、2つの音楽の流れが見えてくるようになっているのに気づかないでしょうか?
(上下両方に棒が伸びている音符はどちらのパートでも音を出しますが、棒の先の旗の有無、本数によりそれぞれの音価を適用して演奏しましょう。)

この曲はもちろん、他の楽譜も意識して書かれた楽譜は同じように1段でも複数の流れを表している事があるのです。

単純に音符を追いかけても弾けるかも知れませんが、今まで何となく楽譜を追って頂けの方は様々な事を深読みするつもりでもう一度楽譜に向かってみましょう。

そして、だんだんと楽譜を読むことが楽しくなってきたなら、教えている者としてはうれしい事に思います。

・・・さて、それではここでようやく今回の楽曲の譜面を音にしたものをお聞きください。4分音符のカウントを付けてあります。聴きながらもう一度このページの最初から読んでみるとまた違った事に気づく事も出来るかも知れません。

音源:ジュリアーニのエチュードop30-3 カウント付き

(作業時間の都合上パソコン音源による演奏となっております。講師の実演につきましては後日時間のある際に更新UPされる可能性も御座います。気長にお待ちいただけますと幸いです。)

今回のエチュードに限らず、ギターの基礎、音楽の基礎を勉強されたい方、独学でやっていていまいちうまく行かない方もお気軽にTsuneギター音楽教室へお越し下さい。

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